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彼女は1ヶ月前に旦那の浮気調査を依頼してきた顧客だった。
名は上原静華。
30前後の人妻で、夫婦に子供はまだない。
冷たい氷のような美貌、と言いたくなるほど、目鼻立ちが完璧に整った顔立ちの美人だった。
アーモンド型の大きな優しそうな瞳と、鼻筋が綺麗に通った高い鼻のバランスが、日本人なのにハリウッド女優を思わせた。
背が高く、スタイルもかなりいい。
全体的にはスレンダーな印象だが、あまり華奢に見えないのは、胸元の豊満な盛り上がりのラインが艶めかしく、身体全体から極めて女性的な曲線美を見せつけてくるからだろう。
彼女はある日突然、俺が住む、この海沿いにある古い廃屋倉庫までやって来て、浮気調査を依頼してきた。
はっきり依頼を断ったが、この廃屋倉庫の元持ち主である元古本屋の爺さんからの紹介だと言う。
こっちはもう探偵を引退した身だ。
元古本屋の爺さんからの紹介だろうが何だろうが知ったことじゃない、お断りだと言うと、彼女はスマホで爺さんに電話し、俺に電話に出るように言った。
「勝手な紹介は金輪際お断りしたいんですけどね。私はもう探偵を引退した身なんです」
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