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「断っておきますが、マリア先生は決して自分からあなたたちのことをペラペラ話したわけじゃありませんからね。そこは誤解なきように」 俺は静華に釘を刺した。 「はあ」 「マリア先生は、最初はあなたの話をすることすら躊躇されていました」 「そうですか」 「しかし、私がタマリンド水やチキンブリトーの話をしたので、途中からは心を開いて、懐かしそうに話して下さったのです」 「タマリンド水?チキンブリトー?ですか?」 「はい。私は昔、ロサンゼルスに住んでましてね、その頃、気分直しや体調改善のために、まるで願掛けのようにタマリンド水を飲んでいるメキシコ人をよく見かけました。あなたも飲んでいるところを先日見ましたよ。今時は美容や健康のための商品が海外から色々入ってくるにしても、日本人で本格的なタマリンド水を自作して飲んでるのは、ちょっと珍しいなと思いましてね。あのタマリンド水の作り方はマリア先生から教わったのですね」 「え、ええ」     
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