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「そして喜多川の方は、まだチンピラの若造だった頃、当時コンビニに置かれるようになったばかりのチキンブリトーを盗んで、捕まっています。チキンブリトーもメキシコで人気の高い食べ物だから、マリア先生の得意料理ですよね。先生は子供たちに今でも作って食べさせているとのことでした。あなたも昔、食べたことあるでしょ」 「は、はい」 「喜多川も子供の頃からよく食べて、チキンブリトーが大好きだったそうですね。前に喜多川がコンビニでチキンブリトーを盗んで捕まった時、バカなチンピラだと思ったのと同時に、何でチキンブリトーなんて、当時の日本ではまだ馴染みのない食べ物をわざわざ盗むのか不思議だった覚えがあります」 「そうですか…」 「タマリンド水とチキンブリトー、最初はこの二つが繋がっているとは思わなかったのですが、養護施設でメキシコ人のマリア先生にお会いした瞬間、不意にこの二つは繋がっているのではないか?と思いました。そこであなた方二人の旧友を装って、あなたと喜多川が好きだった、マリア先生の作るタマリンド水とチキンブリトーの昔話を聞き出したわけです」 「…。」 「喜多川があなたの旦那さんとコンタクトが取れたのは、同じ児童養護施設出身のあなたの口利きだったんですね?」 「ええ、そうです。でもすぐに後悔しました。喜多川がヤクザになっていたなんて知らなかったんです」 静華は少し寂しそうな顔をした。 「あいつは大したタマですからね」     
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