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「これは私の想像ですがね、あなた方夫婦は喜多川を抹殺したかった。そこでコルト・ウッズマンであなたが旦那を撃った芝居をして、私まで巻き込んで信憑性を持たせようとした。あなたは旦那を殺した旨を喜多川に話し、喜多川に、自分との再婚話や旦那の遺産を分ける話なんかを持ち出して、あなたの方から、喜多川に、森に放置してある旦那の死体を埋めるという話を持ちかけた。喜多川はあなたが男女関係まで結んでくれたことで、すっかりあなたのことを信用し、あなたと一緒に森に入って行った。ところが、そこには死体のフリをした旦那が待っていて、喜多川は旦那に刺殺された。その後、あなたと旦那は喜多川の死体をそこに埋め、あなたは私の尾行に気がついていたので、旦那は喜多川が着ていたレインコートを着て、顔までフードで隠して喜多川と入れ替わり、あなたと一緒に森から出てきたというわけですな」 「ち、違います」 「さっき私の携帯に電話してきたのは、古い知り合いの伊吹という刑事でしてね。今、あなたの旦那の死体が見つかった森の中の全く同じ位置の、そのさらなる奥深い土の中から、喜多川の死体が発見されたとのことでした」 「…。」 「喜多川はやはり刺殺だったようです。あなたの旦那の死体が埋まっていた穴と同じ位置の、さらなる深みに喜多川の死体が埋まっていたんですから、旦那と喜多川のどっちが先に殺され、埋められたかはもはや明白です。先に旦那の死体が発見されてしまえば、同じ場所のさらなる深みに喜多川の死体が埋まっているとは、警察もそうは中々思いませんからね。考えましたね」 「…。」     
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