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「その後で、森にまたUターンして、喜多川の死体のちょうど真上に旦那の死体を埋めたんですね」 「はい」 俺は後悔した。 あの時、森から去っていくキャデラックを最後まで何故尾行しなかったのか? しかし、仮に尾行していたとしても、旦那が静華に撃たれるのを止めることは出来なかったろう。 いや、静華が、愛していた旦那を撃ってしまう事を、俺は止められなかったと言うべきか。 静華は目を閉じたまま、俺の前に座っていた。 俺は静華に、邸の中にある、あのホームバーへ行くことを提案し、二人でバーに向かった。 静華はグラスを二つ出してきて、俺のグラスと静華のグラスの両方に、アイラ・モルトのラガヴーリン16年を注いでくれた。 ラガヴーリンのストレートはさすがに美味い。 独特のスモーキーな味わいも好きだ。 「これは最初、飲めなかったのよ、私」 静華は、ゆっくりラガヴーリンを飲みながら、少し微笑んで、そう口にした。 「夫がね、あの人が教えてくれたのよ。最初は薬っぽくて苦手だったわ。このスモーキーでドライなテイストも受け付けなかったの。でも、あの人は、ラガヴーリンがすごく好きでね、一緒に飲んでるうちに、私も大好物になっちゃった」 「アイラ・ウィスキーの魔法の酒だからね。いい夢を見せてくれるよ。また愛車を置いて帰らなきゃならない」     
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