儚い夢

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名も知らない草木が生い茂る森に、私と君はいた。いつからだろう、こうして共に過ごし始めたのは。本ばかり読んでいる君に、外に出て遊ぶ事を教えた。君は私の知らないいろいろな事を教えてくれた。自然に溢れ出る心地いい感情。きっと、君といる事でしか味わうことはできないだろう。そんな君に、いつかこことは違う世界を旅しようといったね。笑顔で返事をくれた君は、どこか申し訳なさそうに空を見つめていたね。わかってる、私が君よりも先に逝くことも、君の中の悪魔を取り払う事ができないことも。気休めだ、戯言だ、妄想だ。わかっている、わかっていてもそんな言葉しか伝えられない私自身に、側にるだけど満足してしまいそうな自分に嫌気がする。神様、私は彼女に何を言ってあげればいい? 私は何を差し出せば彼女を救う事ができる? 足でも目でも尻尾でも、好きなもを差し出す。虚言を吐く事しか、側にいることしかできない私に、彼女を救う希望を下さい。
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