ベタな展開 (学校編)

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ベタな展開 (学校編)

 ああ……ついにこの日が来てしまった。 「窓側の席の人から、くじを引きにきてくださーい」  黒板の前で委員長が言う。  教卓に置かれた、くじの入った箱。  そう、今日は学期に1度の席替え。  あああ……移動したくない……卒業までこの席で居たかった…… 「ぃ……おーい!」 「えっ? ななな、何?!」  どんよりと一人落ち込んでいたら、隣の席の彼から声をかけられていたようだ。  びっくりしてどもってしまう私に彼は一瞬驚いた顔をすると、ふっと笑って前を指さす。  その先には、私の方を見ている委員長。 「いや、順番、次お前らしいぞ」 「あ……ありがとう……」  小さくお礼を言った私の顔は真っ赤になっているだろう。  あーばれちゃったかなぁ……  私は、隣の席の(今では、“だった”)彼に恋している。それも高一の時からずっとだ。  高三でクラスが一緒になって、しかも席が隣になった時は、仲良くなれるチャンスだと思ったのに、臆病な私はその一歩が踏み出せないまま、ついにこの日を迎えてしまった。 「はい、どうぞっ」  遅くなった私にも笑顔で箱を差し出す委員長。いい子だなぁなんて思いながら、私はくじを引いた。 ◇ 「……え、ええっ?」 「お?」  がたがたと机を動かしてきた先には、1学期間、ずっと隣で見てきた彼の姿。 「え……もしかして……」 「なんだ、また隣だな」  よろしくな、満面の笑みでそう言う彼に、「今日部活の練習見に行ってもいい?」 そう私が聞くのはこの数分後。  さあ、第一歩だ。 『席替えで二度連続隣の席になった』
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