607人が本棚に入れています
本棚に追加
ノックの音に気付く。蓮は部長を放りっぱなしだったことを思いだした。
「すみません、追い出してしまって」
「いいんだ、今医者がホテルの前に着いたらしい」
「じゃ、誰か行かせます」
蓮は池沢に医師を連れてくるように電話した。
少ししてまたノック。白髪で小柄な医師だ。ジェロームを診ている間、蓮と大滝、池沢は外に出た。
ドアが開き医師が出てきた。
「どうかね?」
「明日になればあちこち痣が出来るでしょうね。腕、肩、腿に痛みがあり、どうも思い切り掴まれたようです。外傷はありません。言いにくいですが、首にもしばらく痣が残るでしょう、吸われてますからね」
大滝の溜息。蓮の震える拳。
「どのくらいかかると思っていいかな、その、首の痣が消えるまで」
「結構かかりますよ。痣は簡単には消えませんから」
「じゃ、外傷として診断書を出してくれ。彼には治るまで休暇を与えたい」
「分かりました。ではまた、改めて。あ、鎮痛剤は後で渡しますので」
「もう一人診てもらいたい。池沢くん、相田のところに先生を案内してくれ」
「分かりました。先生、こちらへ」
最初のコメントを投稿しよう!