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廊下の突き当りにソファが見えた。
「河野、ちょっといいか?」
大滝についてソファに座った。
「対応策を考えなきゃならん。悪かったな、相田がどういう男か全く把握出来ていなかった」
「それは私もです。この業界はクセの強い人間は幾らでもいますからね。ジェロームはとても素直なヤツなんです。今時珍しいくらい純粋なヤツで……酔いが覚めてからショックを受けるんじゃないかとそれが心配です」
「その辺のケア、引き受けてくれるか?」
「もちろんです!」
「今回のこと。落ち着いたらシェパード君に確認しなきゃならん、訴えるのかどうか。れっきとした暴行だからな、相田には先に辞職願を書かせるつもりだ」
「部長。それって訴えられる前に会社から切り離しておくってことですか?」
「当然の自衛策だよ。在職中に訴えられたんじゃ会社対シェパード君にもなり兼ねん。それは避けた方がいいだろう?」
確かにそうだ。会社は穏便に済ませたいだろうから相田が在職している限り動きにくくなる。ジェイの扱いにも匙加減が加わるかもしれない。相田が辞めれば、逆に会社はジェイを支援しやすいだろう。
「分かりました。これからのことですが、ウチとしてはかなりキツいことになります。しばらくは私が穴を埋めますが」
「チーフを兼任するのか?」
「はい」
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