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心配なのは明日の朝だ。今はまだいい。夢の中の出来事のように呆然としているのだから。
けれど、朝が来て、酔いが醒めて、現実を認識したら?
ジェイのことだ、ショックはそのまま心へ突き刺さり大ダメージを残すだろう。
(守らなければ)
明日が土曜で良かった。明後日が日曜で良かった。せめて2日はじっくりそばにいてやれる。
診断書が出ても出なくても大滝はジェイを休ませるだろう。首のマークは会社にとっても致命的だ。でも休んで一人で家にいられるのだろうか……
髪を撫でている内にまたとろとろとしてきたようだ。
目が開いたり、閉じたり。その間隔がだんだん短くなり、閉じている方が長くなる。
(眠るんだ、ジェイ。きっと明日は辛い思いをする。ぐっすり眠れ。悪い夢を見るな)
小さなノックがあって開けると花がいた。
「相田のこと、報告に来ました。一応ですね、顔は充分腫れている。鼻血は止まってます。拭いといたからそうグロテスクには見えなかったはずですよ。課長のパンチもいい音立ててたからなぁ。あ、全部俺が殴ったことになってるんで今さら覆さないでくださいよ。問題にしないと部長も言ってくれたし」
こういうところを花は躊躇わない。
「相変わらずジェロームが誘ったとかくだらないこと言ってるけど、部長もそんなの信じちゃいないですから。部長、今日はこのまま帰るって言ってました。明日午後、ここに来るそうです。で、ジェロームに訴えるのかどうか聞いて全部決まるって言ってました」
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