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目が覚めた時にジェイが窓際に立って昇る朝日を見ているのが分かった。静かに起き上がる。その肩に手を置いた。小さく震えているのが伝わってきた。
「ジェイ」
「俺……」
「こっち向け」
「俺、蓮以外と……」
「こっちを向くんだ」
「キスなんかして、体預けそうになって……」
「ジェイ、あれは事故だ」
「俺、覚えてる。キスした時に気持ち良かった」
後ろから抱きしめた。
「お前は酔っていた。相手が誰だか分からなかったんだ」
「分からない相手に俺は許したんだ」
「お前には何の罪も無いよ」
「蓮、聞こえなかった? 気持ち良かったんだよ、相手が誰でも俺はいいんだ」
「そんなやつじゃない、ジェイは。お前は俺のものだ」
「でも、でも……俺は自分が蓮だけを愛してるって、だから安心して、だから自分を信じられて……もう自分が分からない……」
「ジェイ、事故の反動だよ。お前は勝手に自分が悪かったと思ってるんだ。お前は被害者なんだぞ」
「蓮。俺、マンション出る。俺なんか蓮のそばにいちゃいけない。蓮を見るの、辛い……俺をこんなに大事にしてくれるのにそれに甘えるばっかりで。なのに……他の人とキ」
蓮の強い力にジェイの体が反転した。
「俺を見ろ」
首を横に振る。俯いたまま雫が落ちるのが見えた。その顎を持ち上げると目が閉じられていた。
「俺を見てくれ。頼む」
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