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食事が届き、僅かなスープを飲んだ。
「もう少しでいいから飲んでくれ」
「お腹がもう……いっぱいで」
「帰ったらお前の好きなおじやを作ってやるからな」
(もうあそこは俺の家じゃない……何も無かったような顔なんて出来ない……)
ジェイの心が閉じ始める。耐えられないから自分を守るための固い殻が必要になる。
大滝部長は少しの時間で帰った。
「じゃ、訴える気は無いのか?」
「はい」
「具合悪そうだな」
「少し……でも、大丈夫ですから」
「そうか? 何かしてほしいことがあったら言ってくれ。後のことは会社に任せるということでいいのかな?」
「はい、お任せします」
「分かった。じゃ、ゆっくり休んでくれ。ここのチェックアウトはいつでもいい。いたいだけいるといい。着替えが必要なら買うといい。後で会社が払うから」
「ありがとうございます。ご迷惑おかけします」
「シェパード君。迷惑などかけられていないよ。君が心配だ。元気になったら出社してくれ。待っている」
「良かったのか? あれで」
「人を……訴えるような立場じゃないし。いいんだ、あの人だけが悪いんじゃない……」
「言っておくがお前に非は無いからな。誰もお前を責めるヤツはいない。お前だけだよ、お前を許して無いのは」
答えが返ってこないのが心配だった。思っていた以上にジェイのショックは強かった。
(あいつの言葉がジェイを苦しめている)
どうしたらいいのか……
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