3.見失う

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   食事が届き、僅かなスープを飲んだ。 「もう少しでいいから飲んでくれ」 「お腹がもう……いっぱいで」 「帰ったらお前の好きなおじやを作ってやるからな」 (もうあそこは俺の家じゃない……何も無かったような顔なんて出来ない……)  ジェイの心が閉じ始める。耐えられないから自分を守るための固い殻が必要になる。  大滝部長は少しの時間で帰った。 「じゃ、訴える気は無いのか?」 「はい」 「具合悪そうだな」 「少し……でも、大丈夫ですから」 「そうか? 何かしてほしいことがあったら言ってくれ。後のことは会社に任せるということでいいのかな?」 「はい、お任せします」 「分かった。じゃ、ゆっくり休んでくれ。ここのチェックアウトはいつでもいい。いたいだけいるといい。着替えが必要なら買うといい。後で会社が払うから」 「ありがとうございます。ご迷惑おかけします」 「シェパード君。迷惑などかけられていないよ。君が心配だ。元気になったら出社してくれ。待っている」 「良かったのか? あれで」 「人を……訴えるような立場じゃないし。いいんだ、あの人だけが悪いんじゃない……」 「言っておくがお前に非は無いからな。誰もお前を責めるヤツはいない。お前だけだよ、お前を許して無いのは」  答えが返ってこないのが心配だった。思っていた以上にジェイのショックは強かった。 (あいつの言葉がジェイを苦しめている)  どうしたらいいのか……   
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