3.見失う

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  「ジェイ! ジェイ、どこだ!」  広い家じゃない、どこにもいない。目が覚めたら脱いだパジャマがきちんと枕に置かれていた。書置きもない。早い時間に出たのだろう、バスルームは冷えていた。 (なんで気がつかなかったんだ!) 自分が情けない、ジェイの心を見失ってしまった。 (どこに?) 蓮はキーを掴んで車に走った。  てっきりここに来ていると思った。けれどアパートは静かだった。 (じゃ、どこだ!?)  一つの場所が浮かんだ。きっとジェイはそこだ。蓮は車を飛ばした。小雨が窓に当たっていた。 (母さん……俺、どうしたらいいか分からないんだ……)  ただ、墓の前に立っていた。明るかったグレイの空がどんどん暗くなっていく。小さな雨粒が頬を、体を濡らし始めた。 (俺ってなんなんだろう……母さんはこんな俺、望んじゃいないよね) 答えがあるはずも無く、水滴が髪から滴り落ちていく。 「ジェイ」  見上げると少し離れたところに蓮が立っていた。 「迎えに来た。そばに行ってもいいか?」  涙が溢れた、雨ではなくて。蓮が……来てくれた。ジェイは蓮に飛びついた。 「やっぱり……独りはいやだ……イヤだ、蓮、独りになるのは怖い……」 「お前を独りにするわけ無いだろう? いつだって一緒だ、お前を愛してるんだから」   
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