3.見失う

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   ずぶ濡れの体を擦った。 「こんなに冷えて。じゃ、お母さんとはたっぷり話したろう?」 「何も……何も答えてくれなかった……」 「それはお前のこと、安心してるからじゃないか?」 「安心?」 「お母さんには何も変わったようには見えなかったってことさ」 (変わって……ない?)  小さい子どもじゃない、だから死んだ母が答えてくれると本気で思っているわけじゃない。けれど母ならこう言ったかもしれないという言葉が欲しかった。 「蓮……本当にそう思う? 俺、変わってない?」 「変わったとは思えないけどな。お前だからあんなことで罪を感じるんだ。お前だから自分を許せないんだ。だから何も変わってないよ」 「俺のこと……汚いって思わないの?」 「おい、怒るぞ! 最初に言っただろう? 困るなら困る、イヤならイヤだと言うって。そんな風に思うならここまで追いかけて来ない」 「うん……うん、俺、嫌われると……嫌われてると思ったんだ」 「なんで! 俺、そんな素振り見せたか?」 「だって……抱いて……くれなかった……」   
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