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「ははは!よいよい、苦しゅうないぞ、分身殿!」
ツッコんだけど、相手は笑うばかりで、ちゃんとした回答をしない。
イラッとしたら、そっくりさんの仲間が口を開いた。
「我が君、近づきすぎです!」
「離れて下さい、ご主君!」
「皇太子様。」
「若様!」
「殿下~!」
うちに対して、不審者を見る目を向けながら言う。
なんやこれ?
新手の嫌がらせかいな!?
張り詰める空気の中で、内と同じ顔の奴がのん気な声で言った。
「みな、警戒しずぎじゃ!分身殿が怖がるではないか?のぉ?」
「いやいや、どちらかと言えば、驚いとるんやけど!?ちゅーか、分身殿って、うちのことか!?」
「そうじゃ!それも含めて、話をしよう!さあ、共に参ろう!」
「へ!?ちょっとー!?」
動きは急だったけど、優しく抱き起される。
「大丈夫か?さあ、こちらへ。」
「う・・・うん・・・!」
優雅で、品のある動作にドキッとする。
なんやの、うち!?
(なんで、自分の顔にドキドキしてどないするねん!?)
てか、紳士的やないの!うちのそっくりさん!?
丁重に扱われたこともあって、少しだけ相手への評価が上がる。
「どこも怪我はないか?大事ないか?」
「だ、大丈夫や!おおきに・・・」
お礼を言って笑いかけたら、なぜか動きを止めるそっくりさん。
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