213人が本棚に入れています
本棚に追加
「女やけど、なんか文句ある?」
恥ずかしかったけど、証明するために胸を張れば、うちをにぎっていた手が離れた。
「嘘だ・・・・」
「え?」
うつろな目で、うちのそっくりさんが叫ぶ。
「お・・・・女だったなんて・・・・!!さ、詐欺だっ――――――!!」
「なっ!?なんやと!?」
「ああ・・・なんというこ・・・・・・・!?」
失礼過ぎる態度に、一発かまそうと思ったらその体が崩れた。
ガクッと前のめりになったので、思わず支えた。
「え!?あ、危ない!」
「我が君―!?」
反射的に抱き止める。
美少女の悲鳴が響く中、反射的にそっくりさんを抱き留める。
地面にゴッツンこの寸前で抱き抱えた。
「「皇太子殿下!!」」
そこへタッチの差で、鎧を着たイケメン2人も、崩れ落ちたその体を支える。
「ちょ、自分!しっかりしーや!」
顔を覗き込めば、その色は真っ青で、ぐったりとしていた。
「な、なんなの!?」
「大変!きっと、心労でお倒れになったんですわ!」
遅れて駆け寄ってきたうち1人、女の子が叫ぶ。
(心労やと!?)
「え!?なに!?この子、心が弱いの!?」
「強くても、衝撃は大きいですわ!」
「せっかく召喚したというのにじゃ・・・」
「期待が大きかったですからね。」
「ええ、嫌などんでん返しでしょう。」
「よりによって、召喚した相手が女の子だったから・・・・」
「え?」
聞き返せば、何やらとげのある言葉が帰ってくる。
なぜかそいつら、うちを見ながら、言いよんねん。
「「「「「・・・・ハズレだったから・・・・!!」」」」」
「は・・・?」
はずれ?
ハズレって・・・え?
「うちのこと・・・?」
念のため、自分を指さしながら聞く。
それに老若男女は、同時に首を縦に振った。
「うちのことぉ!?」
いや、ハズレもなにも、あんたら・・・・
「初対面で失礼やろー!!?」
そう言ってツッコめば、はぁ~と、5種類のため息を返してくる。
そこへうちの腕の中で、うなる声もあわさり、連動した。
表情に差はあるが、あきらかにがっかりされている。
(最悪や、こいつら!!)
そしてこれが、うちのこの国への第一印象やった。
最初のコメントを投稿しよう!