第01話 母と子

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 と、家を出される時が辛かった。  少年に行く場所など無かったし、シーニィも母もいない外の世界は恐怖でしかなかった。  学校帰りの子供達に見つかれば石を投げられ罵倒される。 「どうして学校に来ないのか」  もしくは 「白髪の化け物」  などと言われているのかも知れない。  いつだったか日本語の分かる()()()大人がそう教えてくれた事があったからだ。 「お前の母は男に体を売って生きている癖に俺には股を開かない」 「女を買う金も無い貧乏人だと親子で俺を馬鹿にしているんだろう」 「お前らはこの国じゃゴミ以下なんだ」  そんな事も()()()大人は少年に教えてくれた。  時に拳を振り下ろして。  もっとも、そのくらい少年も分かっていた。  言葉は通じなくてもバカにされている事は十分伝わるし、自分に微笑んでくる大人は『危ない』と母から教わっていたから。  いつだったか父親について聞いた事があった。  母の首元にはいつも銀のロザリオがかかっていた。  「きれいだね」と言うと「パパから貰ったのよ」と教えてくれた。 「パパは良い人?」  そう尋ねた少年に母は首を横に振り、 「自分は本当に若くバカだった」と呟いた後、     
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