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と、家を出される時が辛かった。
少年に行く場所など無かったし、シーニィも母もいない外の世界は恐怖でしかなかった。
学校帰りの子供達に見つかれば石を投げられ罵倒される。
「どうして学校に来ないのか」
もしくは
「白髪の化け物」
などと言われているのかも知れない。
いつだったか日本語の分かる親切な大人がそう教えてくれた事があったからだ。
「お前の母は男に体を売って生きている癖に俺には股を開かない」
「女を買う金も無い貧乏人だと親子で俺を馬鹿にしているんだろう」
「お前らはこの国じゃゴミ以下なんだ」
そんな事も親切な大人は少年に教えてくれた。
時に拳を振り下ろして。
もっとも、そのくらい少年も分かっていた。
言葉は通じなくてもバカにされている事は十分伝わるし、自分に微笑んでくる大人は『危ない』と母から教わっていたから。
いつだったか父親について聞いた事があった。
母の首元にはいつも銀のロザリオがかかっていた。
「きれいだね」と言うと「パパから貰ったのよ」と教えてくれた。
「パパは良い人?」
そう尋ねた少年に母は首を横に振り、
「自分は本当に若くバカだった」と呟いた後、
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