神様へお願いを

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インターホンを押して少しすると、玄関から髪留めをくれた子が顔をのぞかせた。 ひどくやつれて怯えていた。 ゆうこを見ると途端にドアを閉めて中に入ってしまった。 全くわからないまま同じクラスの子はみな休み始め、ついにいじめていた人は誰一人学校に来なくなった。 それを家でパパとママに話すととても嬉しそうにしていた。 学校の状況を心配するどころか、パパとママは欲しいものは無いか?と聞いて来た。 ゆうこは何故かゾッとした。 その日、ゆうこは眠れずにうなされていた。 布団を飛び起き、リビングに向かった。 リビングに向かう途中の風呂場からパパとママの声が聞こえた。 妙にボソボソ声だったので、ドアに耳を当てて会話を聞いた。 「ゆうこのお願いは全て叶ったみたいね。」 「そりゃそうさ。ゆうこのお願いは神様が聞いてるんだから。」 ギコ…ギコ… 「あの子が不自由な暮らしをしてはいけないもの。」 「あの子が願う世界にならなければならない。」 ギコギコギコ…ギコ… 「そう、どんな手を使っても結果的に願いが叶えばそれでいいのよ。」 「ゆうこの望みは全て叶える。僕らが神様になって…」 ギギ… 「ね!」 バツン! 手汗が滑って私はドアを開けてしまった。 バスルームには、何者かの手をを力を合わせてノコギリで切断してるパパとママがいた。 そしてドアが開いた事に気付き、ゆっくり二人が振り返って目があった。 「あら、ゆうこ。眠れなかった?」 「安眠出来るために欲しいものは無いか?」 返り血で彼らの顔は真っ赤に染まっていたので、笑顔の様にも怖い顔にも見えた。 ゆうこは気を失った。 次の日、さわやかな朝。パパとママはいつも通り。 バスルームには何の血痕も無く、昨日の事が嘘の様だ。 ああ、夢だったんだ。 「行ってきます!」 そう元気にゆうこは、自分の家を飛び出した。 「さて、あなた。今日はゴミ出しお願いね。」 「ああ、ちゃんと午前休取ったからね。昨日は一緒にトランクに乗せてくれてありがとう。行ってくるよ。」 ゆうこのパパは爽やかな表情で山へと続く道に車を走らせて呟いた。 「神様がいたらなあ。」
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