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冬が終わり、気づくと慎ましやかなピンクの花を咲かせ始め、やがて春を象徴する木として立派にそびえ立つ桜の木。風に吹かれヒラヒラと舞い散る花びら、満開の晴れの姿が数週間ともたない儚さもある日本の古くから愛されている木である。桜は昔から有名な偉人達がモチーフとして詩を作ったり、小説を書いたりと題材にされてきた。今でも、昔からも人々の心に強く根付いてる木である。
ところで、皆さんはコノハナサクヤヒメ(木花咲耶姫)をご存知だろうか? いくつかの文献の中では、桜の神様とされている方である。彼女には、イワナガヒメ(磐長姫)という姉がいる。コノハナサクヤヒメをお姫様のような、おしとやかな女性と表すのなら、イワナガヒメは、どっしりとした強面の女性である。二人は正反対の見た目であった、という説もある。これは、そんな桜の木の神とされているコノハナサクヤヒメの姉、イワナガヒメのお話である。
昔、コノハナサクヤヒメとイワナガヒメが亡くなると、二人の墓のほど近い場所に桜の木が二本植えられた。死後、コノハナサクヤヒメとイワナガヒメの二人は、それぞれ植えられた桜の木に生命を宿し、人間界を鑑賞しておられた。桜の木が立派に成長した初めの年、その年は当時の人々たちによって盛大に祭りが催された。しかし、何の祟りだろうか? イワナガヒメの生命が宿っているとされた方の木に近づいた者が怪我をするという謎の事故が、祭りの行われた夜に起こってしまった。人々はイワナガヒメが死後も人間を恨んでいるのではないか、と恐れをなした。昔、イワナガヒメとコノハナサクヤヒメが生きていた頃、後世にも語り継がれるある大事件が起きたのだ。
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