スタードロップ

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くだらないことを考えているうちに、なんとか駅のホームに辿り着く。 下りだからか、人は疎らだ。 歩いて歩いて、一番向こうまで行って、誰もいない整列位置に並ぶ。 今日は本当についていない。 間もなく電車がホームに到着する、というアナウンスが響いている。 喧しい。 そんなのいちいち知らせるな。 けたたましいアナウンスの声に紛れるように大きな溜め息を吐いた。 伝線電柱、ビルの隙間から空を見上げると、これでもかっていうほど星が大量に漂っている。 チカチカチカチカ鬱陶しい。 今日すれ違った人間の数くらいはあるんじゃないか。 その中に、一際赤く光って自己主張する奴がいた。 なんだかイライラする。 ビカビカ光りやがって。 星が光る強さ、色、明滅を繰り返す速さ、大きさ。 一つ一つが異なっている。 鬱陶しい、鬱陶しい。 一つ残らず墜ちてしまえ。 そうすれば見上げた視界に入ることもない。 上も下も煩わしいなんて、いよいよ地獄じゃないか。 自己主張の強い、赤いヤツに狙いを定める。 堕ちろ。 堕ちろ。 堕ちろ。 堕ちろ。 オチロ。 念を送るうち、その赤い星は突如視界の左へ流れ、消失した。 ――やった。 やった。 アイツ、堕ちたぞ。 ざまぁみろ。 どうしようもない悦びが、私を満たしていく。 気分がいい。 心地好い。 誰かが堕ちていく様のなんと愉快なことか――
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