第二章

2/5
前へ
/10ページ
次へ
 「攻撃側はこちらの指示があるまで待機。敵を充分に引きつけてから一気に叩く。」スピーカーから矢継ぎ早に命令が飛ぶ。俺たちは攻撃側なので、ローバーに乗って基地の外に出た。所定の掩蔽壕に身を潜め、出番をひたすら待つ。流石に俺も徐々に気持ちが昂って来るのを感じていた。来るなら来てみろ、俺たちを舐めると碌な事にはならないぞ。  「ロボット迎撃部隊発進!」「了解。」イーグルオペレーターの命令に従って、本部から汎用型の戦闘部隊が発進する。実際の所、これは囮だ。だから数は襲来する円盤の数倍もあるが、相手を撃墜出来るとは、ハナから期待されていない。  案の定、接触したかと思うと次々に撃退されて行くのだが、まぐれ当りと言うものはあるもので、一機の敵円盤が派手な爆発を起こして四散した。俺たちはそれをモニター越しに見て大いに盛り上がった。基地の方でもそうだろう。否応なく士気が上がって行く。  それは敵の方も同様な様子で、闘志を掻き立てられたのだろう、敵の動きが明らかに変わった。迎撃部隊を突破した途端、一気に勢いをつけてこちらに殺到して来る。「奴ら、どうして罠だと気付かないんだろう…」俺はふと疑問に思った事を口にした。  「慢心しているのさ。」班長が吐き捨てるように言った。「20年前もそうだった。円盤に乗ったまま攻撃して来れば楽勝だったのに、奴は、わざわざ降りてきて勝負を挑んで来やがった。圧倒的な力を持っていると自惚(うぬぼ)れてやがるのさ。」     
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加