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深い深い闇夜の森に一人の少年?いや、よく見るとカエルの縫いぐるみのような魔獣がピンクのトランクを片手に何かから逃げるように森を進んでいく……
そうここは、魔属、人間、魔獣などの種族が住む世だ。
「ハァハァ……だいぶん進んだな……ギズ、悪いけど今日は、この木陰で野営するよ」そう言いながらトランクに話しかけた。
「…………カエルさん、まだ夜でしょ?今のうちにヒューマンエリアに進む方がよいんじゃない?まぁ僕はトランクの部屋でゆっくりしてるから、どこで休もうがいいけどね」そう言いながらトランクからひょっこり現れた小さな珍獣は、ギズと言うらしい。
カエルさんと呼ばれた魔獣は、少し遠い目をして言う
「ヒューマンエリアか……そこでなら何年か身を隠せると思うんだけどね」
「今回みたいに3ヶ月程で街を出るのは、やめてよね。だいたいカエルさんは、身を隠してる僕たちの立場をわかってる?すぐに情が沸きしゃしゃり出るからややこしくなるのよ」ギズは、カエルの膝の上でごろごろしながら皮肉げに笑いながらも、カエルを信頼している風だ
「別にそういうわけではないけどさ……ヒューマンエリアは、守られし地域だから普通に生活できるんじゃないかな?」
(そうヒューマンエリアとは、数多くの種族が暮らすなか100年も生きることがたいてい出来ず老いて生命を終わらせる人間達が、不老不死に近い他魔属から守られ生活している地域だ。)
「アハハ。守られし地域ね……魔属の家畜じゃない?まぁでも人間が作るものは便利だったり楽しい物も多いし、短い生命だから変わった感情があるのかなぁ?まぁ、僕にはよくわかんないけどね」ギズはどこか皮肉気に話ながらも瞳は、これからの生活を期待している風でもある。
「そうだね……きっと人間と楽しい生活ができるよ……きっと……」そう言いながら月夜を、カエルは見上げたのだった。
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