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私はその時も窓…ではなくクズイのことを眺めていた。勘違いをしないで頂きたい。今私はゴミクズを見る目で眺めているのだ。
透き通るような肌。
くっきりとした二重ラインにカラコンをしたより大きいであろう瞳。そこに長く細かい束のまつ毛。
指でなぞりたくなるような高い鼻に妖麗な口元。
自慢のサラサラ黒髪は平均的な男子より少し長いくらいで横髪は学ランの襟にかかりそうでかからないという絶妙な毛束量。
顔から脚にかけて細く無駄のないラインは西洋人形を想像させる。
このクラスに美馬だけ絵から飛び出して来たようだ。1人だけ良い意味で(悪い意味でも)浮いている。
そこに名も知らぬ同級生が駆け寄って、
「クズイ!わりぃ宿題見せてくれ!」
なんとも必死そうな同級生をクズイは横目でチラリと見てから、
「ゆっちんは相変わらずうっかりさんだなぁ。いいよ、今日の弁当のハンバーグ半分頂戴ね。」
透明感溢れる心地の良い声でそう言い、机からサッとノートを取り出すのだが、まぁ黒髪がサラサラなびくこと。仕上げに見せる優しく静かな微笑みは周りにいる女子全員をとりこにしている。
しかし、私は気づいていた。
それが激高の嵐を過ぎた後に感じる言葉が喉に詰まった瞬間の微笑みだと。
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