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episode 1
朝目が覚めると、僕は40歳若返っていた。
そう、17歳の高校生になっていたのだ。
部屋はいつも生活しているそれではなく、40年前に実家で使っていた部屋になっていた。
違和感を覚え、カレンダーを見てみると、2018年5月21日。平成最後の年だ。
なぜ?どうして?
理由はわからない。
頭がおかしくなったのか。もしくは、
気のせいか。そう思いながらとりあえず洗面所へと向かう。
気のせいではなかった。
鏡に映る僕の姿は、少年そのものだった。
...誰ですか?
思わず鏡に問いかける。
もちろん応答はない。
夢か!そうか。これは夢なのか!
やけにはっきりとした夢だなぁ。
もう60年近く生きていると、人生の楽しみはめっきりと減り、平凡な毎日を送ることになんだか退屈さを感じてくる。
人生のマンネリ化である。
ああ。10代のころは毎日がキラキラ輝いて見えたものだ。
朝起きて会社へ向かい、淡々と仕事をこなし、部下の犯したミスを一緒に謝り、帰宅する。
妻はいない。ずっと独身だ。
恋をしたことは少なからずあるが、結局誰とも籍を入れることのないままこの歳まできてしまった。
夢でもなんでも、10代のころに戻れるなんてとても光栄なことじゃないか。
40年ぶりの高校生活を満喫してやろう!
そう、ポジティブに考えながら咄嗟に制服へと着替えた。
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