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episode 2
高校までの道のりは今でもはっきりと覚えている。
実家の最寄り駅から3駅向こうで降りて、そこからは徒歩20分ほどだ。
この20分間を、友達とたわいもない会話をしながら学校へ向かうのがすごく楽しかった。
そんなことを考えながら40年前と同じように歩く。
いや、さすがに還暦を目の前にすると、あのときと同じように歩くのはやはり厳しかったようだ。
10分歩いて息切れ。20分経過したころにはまだ学校には到着していなかった。
夢なのにここまで疲れるんだな。なんて鮮明な夢だ。
結局学校に着くまでに30分もかかってしまった。
学校に到着したのはいいが、自分の靴箱や教室がどこにあるのかわからない。
誰かに聞くとするか。
そもそも夢なわけだし、変に思われようがどうだっていい。
「あのぉ、、」
「あ!大宮くんおはよう」
えっと.....そうだ、この子は同じクラスの小林さんだ!
たしか、生徒会とかやってたな。
成績はいつもトップで、先生に気に入られてクラスを統括してたっけ。
あの頃もたいした関わりはなかったけどけっこう覚えているもんだ。
とりあえず、この子についていけば靴箱も教室もわかるはず!
「あぁ、小林さんおはよう。久しぶりだね」
「...え?久しぶり...?昨日も一昨日もその前も学校来てたよね?」
「あ、そ、そうなんだ~こっちではそうなってるのか~」
「...?」
やけに忠実な夢である。
夢の中の僕は毎日学校に通っていたらしい。
なにはともあれ、無事に上靴に履き替えて小林さんと一緒に教室へ向かった。
僕のクラスは2年F組。
うちの高校では受験勉強に支障が出ないよう、2年から3年に上がるときのクラス替えがなかったため、F組のみんなが最後のクラスメイトだ。
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