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本当に過去に戻ってきたみたいだ。
このころはまだスマートフォンが主流だったんだっけ。
今はみんな腕時計型タッチパネルが当たり前だから少し懐かしい。
「春樹!」
「おう!おはよう」
こいつはよく覚えている。
今でもときどき連絡を取り合う仲だ。
池端祐一。都内の私立大学を卒業したあと、そこそこ有名な企業に就職し、そこそこ綺麗な嫁を持ち、そこそこな人生を送っていると聞いていた。
「昨日のインスタ見たぜ。金沢先輩といい感じだったじゃねえかよ。ずりぃな、おまえ!」
はぁ!?金沢先輩と??いい感じに!?
……だれですか、それ。
さすがに聞ける雰囲気ではなかったのでしれっと流しておくことにした。
「ま、まぁね」
「なんだよ、まぁねって」
いったいなんのことだろう。そもそも金沢先輩が思い出せない。
とりあえず自分のインスタグラムを開いてみることにした。
あれ?夢の中の僕のポケットにはちゃんと、僕が高校生の頃に使っていたiPhone8が入っている。
やけにリアルだな。
少し怖くなってきた。
若い頃はなんでも、インスタ映えとか言って色んなところに写真を撮りに行ったっけ。
懐かしい。
僕のインスタグラムは本当にシンプルなものだった。
あった、あった。
「金沢先輩とご飯^^*」と綴ってある。
ん?これは...
たしかに金沢先輩だ。
思い出した。
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