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「わあってるよ。お前さんは、いつも通り仕事しとれ。今度は俺1人で行くよ。
そうすりゃ、町のモンも納得するだろ。」
そう言ってやったけど、ピケティの奴、ちょくちょく着いてきてね。結局、
人が良いんだよ。アイツもさ。
だから、次の日も、ピケティと一緒に様子を見にいったよ。そしたら相変わらず、
彼女は海の方を向いていたけど、バスケットの中身が綺麗になくなってるんじゃよ。
食べモンを入れてた包み紙なんか、丁寧にたたんであってさ。
嬉しかったね。いじらしいというのか、可愛いじゃないか?ワシは
その日から毎日、食べ物を届けるようにした。
町のモンには、何の害も無い事を説明し、騎士としての役目を務めているだけと説明してな。
現に、あの方達のおかげで、世の中だいぶ平和になっとったから、
神様へのお供え物と同じで、1人分の食いモンを用意するのも平気じゃった。
食事を食べてくれるとわかったら、後はとんとん拍子で進んでいったよ。
まず、ピケティの野郎が、気になった。
「あの騎士様はずーっと立ってるけどよ。朝から変わらずにだ。俺も夕方には、
町に帰るから、わからねぇけど、多分、夜もあんな感じじゃねぇのかな。」
「何だ?お前、ずっと立ってる、あの人を心配してんのか?それとも…
嫁さんもいる身が、馬鹿こくんでねぇぞ?」
「ちげぇよ。そうでなくてよ。俺達が初めて行った、雨の日も、おんなじとこに、
立っていたじゃねぇか。だからよ。何か雨露しのげる場所があった方がいいと思うのよ。」
そりゃ、確かにそうだが、あの人は、サーラはどう思うじゃろう?ワシは心配したよ。
だけど、ピケティの野郎、さっさと準備を始めてな。
翌日には大工共を連れてきて、海を見てる彼女の後ろで、トンカン、トンカンと始めやがったよ。ワシは冷や冷やしたが、彼女は一度、こちらを振り向いただけで、
また、元の同じ姿勢に戻った。
大工の連中は手際が良くてな。簡素な屋根と大きな窓を持った
(これは、海を見る時に覗きやすいようにと考えたんだろう)簡単な小屋を作ったよ。
そう、アンタの予想通り、今、ワシ等が座ってる所じゃ。ここが、その小屋さね。
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