反撃

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「タケル……いいのか、あれ。ガチで犯罪じゃねえのか」 「いーんだよ。あれぐらいしないと本気が伝わらないから。あとはじいちゃんたちに任せておけば大丈夫。俺の祖父の友人で腕は確かだ」 「祖父? タケルのじいちゃん? ヤクザか何かか?」  タケルはそこから話すのか……と、思わず肩をすくめた。だが、すでに智に白状した後だったため、割合素直に口を割った。これだけの危険にさらした以上、しらばっくれるのは卑怯だと思ったからだ。 「違うよ、悪い方じゃない。祖父は秘密情報部の仕事してたから、その筋の仲間とは今も付き合いがあってね。彼らはじいちゃんが日本で仕事してた時の友人で、元KGBのスナイパー、モサドの破壊工作員、CIAのエージェント。引退後も住みやすいからってそのまま日本で在住してる」 「えええええ!? このじいさんたちが?」  突然の現実離れした話に勝谷は激しく瞬きをした。いくらタケルの言葉でも人の好さそうなこの老人たちと、その職業が結びつかない。  そんな勝谷の気持ちを見透かしたようにタケルが続けた。 「侮るなよ、勝谷。こう見えて彼らは一人で軍の中規模部隊を壊滅するぐらいの殺傷能力はあるぞ。じいちゃんとは組織は違うけど、任務で何度も絡んで戦ううちに友情が芽生えたんだって。四半世紀にわたって互いの窮地を助けあったから、絆は深いんだよ」 「だからってなんでお前のことをタケちゃん呼ばわり……」 思わず勝谷が呟くと、タケルは急に素の顔になって、赤面した。 「くそ、だから嫌だったんだ、ばれるの」 「なんで。可愛いじゃねえか」 勝谷がたけちゃん、と繰り返すと、タケルは早口で説明した。
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