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「こういう時、日本だと痛いの痛いのとんでけー、って言うんだろ。どう治った?」
「やめろ、子供じゃあるまいし」
「治療だよ」
くすくす笑うタケルの態度に、ぶつけたのはわざとだったのではないかと勘繰る。
ゲームで手を離せないのをいいことに、ほとんどずっと額を付き合わせっぱなしで、むしろぶつからない方が不思議なぐらいだ。
「ほら、見てみなよスクリーン。タイムぶっちぎりだ」
「当然だ」
智は不遜な態度で答えると、終わったものに興味はないとばかりに立ち上がった。離れてもタケルの手の感触が残っていて、無性に恥ずかしい。
「待ってよ、帰るの?」
「一応全部見られたし、もう満足だ」
タケルがどんな顔をしているのか、どうしても見ることができず、智は振り返れなかった。
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