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プロローグ
蝶子は子供の頃、少年を助けてあげたことがある。
獣用の罠にかかり、身動きが取れなくなった子だ。
足に食い込んだ鉄の金具に木の棒をかませ、外してやった。
血のにじんだ足をかわいそうに思った彼女は、とっさに頭のリボンをほどき、足に巻く。
終始怯えた表情をしていた男の子が、手当てをする彼女を唖然とした表情で見つめていた。
リボンを巻き終わると彼は何も言わず、山の方に帰っていった。
金色の目をした、不思議な少年。
もしかするとあれは……、人ではなかったのかもしれない。
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