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「あ、見てよあれ。ま~た女の人と歩いてる」 「あれって3年の先輩だよね?確か学祭のミスコンで準優勝だった人じゃない?」 「は~、やっぱり学校一のモテ男は違うわ」 昼休憩、いつものごとく賑やかな教室内にて。 定位置の窓際の席で友人2人と共にお弁当をつついていれば、友人の1人が眉を顰めて窓の外へと視線を向けた。どうやらこの子は軽薄な男が嫌いらしく、今まさに名前が挙げられた“学校一のモテ男”は、この子が嫌悪する対象にピタリと当てはまっているらしい。 「あんたって本当にあーいう人、苦手だよね」 「いや別に苦手とかじゃないし。ただ大っ嫌いってだけで」 「いやいやそれもっと駄目なやつでしょ!見た目だけで判断するのはよくないぞ~。もしかしたら見た目に反してめちゃくちゃ誠実な人かもしんないじゃん。ね、遥香?」 不意に話を振られて変にドキリとしてしまったが、平静を装って「そうだね」と頷く。 「いやだってあの先輩いつも女の人連れ歩いてるけど、毎回違う人じゃん。そんな人のどこに誠実さが見られるっていうのよ。遥香は絶対にあーいう男に引っかかっちゃ駄目だからね。あんたなんか騙されやすそうだし」 「っ、あはは、そうだね。気を付けるよ」 私の返答に満足したのかそこで話は終わり、次の体育の授業について話し始めた友人たち。 そんな会話を耳にしながらゆっくりと視線を窓の外へと移してみれば、確かにそこには話の渦中の人物であった男女2人が楽しそうに肩を寄せ合って歩いていた。 じっと見つめていれば一瞬、男と視線がかち合った気がする。 しかしダークブラウンの瞳は直ぐに逸らされ、再び隣の女性に甘い笑顔を向けたかと思うと、その姿は真下の校舎の中へと消えて行ってしまった。
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