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――友人2人の会話に出てきた、“学校一のモテ男”という言葉。 この言葉だけで、脳裏には直ぐに1人の男の顔が浮かび上がる。 金色の柔らかなくせっ毛に、ダークブラウンの少し吊り上がった瞳。 その整った容姿から女の子にはもちろんモテモテ。誰にでも優しくて、いつも可愛い女の子を横に連れて歩いていて。甘い笑顔に甘い声でつらつらと愛を囁く。 そんなことはこの学校にいる大半の人たちが知っている彼の姿だろう。 ――でも、私は知っている。そんな彼の、“本当の姿”を。 でも、知りたくなんてなかった。 ・・・知りたくなかったよ。 知らないままだったら、こんなに痛くて、苦しくて、泣きたくなるほどの切ない思いを抱えずに済んだのだから。
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