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――――――
「失礼しま~す・・・」
授業中ということもあり無意識に小声になりながらも、スライド式の扉をそっと開ける。
しかし入って直ぐに見えるデスクには、いつもいるはずの先生の姿が見えない。
どうやら丁度席を外しているタイミングで来てしまったらしい。ツイてないな。
とりあえず先生には後で報告すれば良いかと自分を納得させて、せめて傷口の消毒だけでもしてしまおうと薬品棚の方へと足を進めた。
――室内には自分しかいないと気が緩んでいたこともあったのあろう。
簡易ベッドの周りに置かれている衝立カーテンが勢いよく開かれる音に、無意識に肩が跳ね上がった。
恐る恐る、瞳を左方へと向ける。
そこには、昼休みに目にした“学校一のモテ男”が、どこか困ったように眉尻を下げて佇んでいた。
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