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公園で
社会人になって二度目のゴールデンウィーク、夕方に差し掛かる少し前に、僕は公園に足を向けた。
高校時代の通学路沿いにある大きな公園で、遊具が置いてあるスペースと芝の広場があり、いくつかベンチが点在している。
日が傾き始め、遊んでいた子供たちも家に帰ったのか、公園には人はまばらだった。
僕は芝の広場の隅にある大きな木の下のベンチに腰掛け、何となく景色を眺めた。
僕はここで人を待っていた。と言っても、何か約束をしているわけではない。
僕は昔ここで、毎日のように人と会っていた。
このベンチに座って、話をするだけの人。連絡先どころか名前も知らないその人に会えないだろうかと、僕はこの公園に足を向けた。
大学生の時も社会人一年目の去年も、僕はこの公園には来ていない。
家から少し離れているから、来るのが億劫だった、というのもあるけれど、……正直、何となく来るのが怖かった。
彼女と最後にここで別れてから、もう随分と時間が経つ。
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