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夏を暑い日、僕の机の隣の窓をブルーシートが覆っていた。 「野球部が壊した」と聞いたのは昼休みの食堂であったが、そんな事は気にしてはいなかった。 ただ、つまらない授業で、外が見れないのは辛かった。 数学、理科は特に苦手だった。生粋の文系である事は小学生から分かっていた。 「ねぇ、となり、大丈夫?」 「はい、どうぞ」という風に首を縦に一度振る。彼女は偶然(必然?)的に話が合ってしまった人である。名前は酒井沙奈。同じクラスでもある。 彼女は俗に言う「ボーイッシュ」なのだろう。それでも、運動部に入る訳ではなく、映画研究部に入っている。中学は陸上をやっていたと言うから驚きだ。何があったのか(それほど感化された映画があったのかもしれない)。  「先週からの映画、見た?ストーリー構成は良かったね」  「あれはいまいち…もう少し丁寧な作りの方が見てもらえるよ」 如何にもエセ映画評論家のように喋り倒した。しかし、批判に値する程の物であると考えれば、喋るのは苦にならないし、飛んでいった1500円も笑ってくれるだろう。 「あはは、私たちっておかしいね」 「そうかもな。それでこそだけどな」 でも、1番はこうやって酒井と話す事だと、心の奥では分かっていた。
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