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「ひとつ力を失ってわかったことがあるの。私が戦いに行ってたらたぶん無駄死にしてた」
「どうして?力は勝っていた確信があったんじゃないのか?」
「うん。力はね。でも気持ちが負けてるもの。神に戻るのもいやだったし離れるのも嫌だった。そんな状態で悪意の塊である相手に勝てたかといわれると疑問が残るよねー」
木嶋は確かにと頷いた。
「力も無くなったし何も無くなったけど、ここにいていい?」
木嶋はため息を付く。
「今までもずっと家にいただろ。何を今更。こっちはニート飼っているつもりだったぞ」
ぶっきらぼうな態度が昔を思い出す。カミサマは笑った。
「そうじゃなくて、言葉で聞きたいの」
真意を理解した男は頭を掻いて困惑した表情を見せる。
照れたようで後ろを向いて一言だけ呟いた。
「俺の家にずっといてくれ」
カミサマは男の正面にわざわざ回りこんで抱きついた。
「そうね。いてあげる。だから変わりに頂戴」
ぎゅっとしがみつくカミサマ。
木嶋は照れからか上を見ながら尋ねた。
「何が欲しいんだ?」
「名前。あなたとずっと一緒に生きる私の名前を!」
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