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横着な木嶋は普段コタツを置いてそこで食事をしている。
何を食べるかわからないから適当にカップ麺と冷凍食品の揚げ物をレンジにかけてコタツの上に出した。
コタツに座って箸を持つ金髪女性。びっくりするほど似合ってなかった。
三人前はゆうにあったと思う食事が全て女性の中に消えていった。木嶋は少々驚いたが久方ぶりの食事だったのだろうと同情し何も言わなかった。
「それで、これからどうしたいいの?」
何も映さない瞳が木嶋の方を向いていた。
「どうしたらってどういうことだ?何かして欲しいなら言ってくれたら出来ることはするぞ?」
むしろどうしたら良いか聞きたいのはこっちの方だった。どうしてあそこにいたのか。誰なのか。何もわからないし聞きにくい。
「じゃあ、教えて。人ってどうやって生きるのかを」
女性の言葉は冗談には聞こえなかった。
とりあえずシャワーを使わせることにした。ゴミ塗れだった上に怪我だらけだったからだ。
悪いとは思ったがボロ布を確認した。そういう暴行の後を確認したかった。だが、そんな痕は無く、ボロ布の後は火傷や切り傷のようだった。
「これで合ってる?」
シャワーから出てきた女性は自分の着ている物を木嶋に見せた。着る服がなかった為、自分が寝巻き代わりに着ている服をとりあえずとして渡した。
下着については頼むから聞かないでくれ。
「ああ。すまないなそれしか無くて」
「いい」
女性は一言だけ言って、さっきまで食事をしていたコタツの位置に座った。
コタツに入りたいというよりは、他に居場所を知らないという感じだ。その仕草はちょっと猫に似ている。ふとんを取り出して、その定位置で寝てもらうことにした。
だがこんな意味深は雰囲気はあっという間に終わりを迎えた。
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