何も出来ない同居人

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 気を使いすぎたからか。それとも本性がこうだったのか。そこにいたのはミステリアスで暗い過去を持つ女性ではなく、あっぱらぱーな疫病神だった。  唯一良くなったのは瞳が空虚じゃなくなったことと、衣服が普通になった位だ。買ったのは木嶋だが。 「ねーねー。飽きたー。どこか行こうよ!」  ゴミ捨て場で見つけて丁度一週間。口を出せばほとんどが何かの要求だった。ちなみに彼女が飽きたと言っているのはついさきほど彼女の希望で買った本だ。 「うるせぇ!こっちは明日の仕事の書類で忙しいんだよ!」  一週間無理やり有給を取らせてもらった。そのせいで仕事が立て込んでいる。 「それ何してるの?面白い?」  パソコンの画面を横で見だした女性。 「んー。飽きた」。 「つまらないことだからな。それでも俺はやらないといけないことだから今はお前に構えない」 「はーい。じゃあ我慢するー。終わったら何か付き合ってよね」  しょうがないという態度の女性。木嶋はイラつきを覚えるが、別に苦痛というほどでも無かった為我慢した。  木嶋は女性に名前を尋ねた。 「えー。難しいなぁ。昔は神様だったよ?」  彼女は独自の回路を持っているらしく、会話が通じないことが良くあった。  今回も悪い方向にそれが起動しているらしい。 「そうか。じゃあ元神様もあれだしカミサマってこれから呼ぶな」 「おっけー。いんじゃね」  それで良いらしい。これからはお前とかでは無く、カミサマと呼ぶことになった。これはどっちがマシだろうか。正直複雑な心境だった。  基本家にいて時々外に遊びに行く。そんな同居人との生活が一年続いた。酷くウザいことを除けば、気軽に一緒にいれるし楽しいから悪くない生活だった。  ただし男女のアレコレだけは起きそうに無いし起こすきも無かった。というか見た目は良いが中身が酷すぎてそういう目で見れない。
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