何も出来ない同居人

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 この世界には神様と呼ばれる存在が沢山いた。神は人や獣、はたまた概念などが変化して生まれた存在だ。  神様と呼べるべき存在が沢山いたが、本当の意味での神様は一人だけだった。  神様の中でたった一人だけ、世界を変える権利を持っていた。  大昔女性が自らを人柱として嵐を鎮めた。その概念。それがカミサマの正体だった。  人を守るのが当たり前と思っていたカミサマ。  そんなカミサマに一柱の神が襲ってきた。  その神は争いという概念から生まれた神だった。  争いの神は世界を恨んでいた。自分を生み出した人を、獣を。そして世界そのものを。  争いの神様はカミサマに勝利し、世界を好きに出来る権利で世界を滅ぼそうとしていた。 「ということがありました。ちなみに言わなくてもわかると思うけど、前の神が私。負けてボロボロになった所を助けてもらったと」  木嶋はそのことで色々と納得が言った。あまりに無知すぎたのは、人としての生活を知らなかったからだろう。 「凄いよね。木嶋のおかげで世界なんとかなりそうなんだよ?ほら?私こんなにはっきりした存在になってるでしょ?」  空をふらふらと浮かびながら楽しそうにこちらを見るカミサマ。もうその程度では驚かない。 「空虚だったあの時は神として死に掛かってたからああなっていたのか」 「うん。人と違って私達は存在が全てだから。データみたいな物ね。削れても死なないけど薄くなるの。でも今はこんなにはっきりした。色々なモノをくれたからだよ」  カミサマは神としての信仰を失い奪われた代わりに、人を守りたいという心を手にした。それは信仰にも負けない力に感じていた。 「だから、割と何でも出来るから最後に何か願い無い?出来ること沢山あるから割と何でも叶うよ?」  カミサマの笑顔で言う言葉は、酷く悲しい気持ちにさせられた。
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