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「なら、三つ目の願いだ。もう三つ、俺の願いを聞いておくんなさい」
「えっ?!」
「えっ、じゃねよ。聞こえなかったのかい。最後の一つの願いで、それを三つに殖やしてくんなと言ったんだ」
「いやしかし、それは――」
「しかしも案山子もねえんだよ。出来ねえとは言わさねえ、さっき出来ねえことが三つもあると言ったその中に、願いを増やすことは出来ねえってぇのは入ってなかったぜ」
「し、したが――」
「したがも夜鷹もねえんだ。それとも神様ってぇのは嘘をつくのか。どうでも出来ねえと抜かしゃぁがるなら、ここの社の神さんは、大嘘つきのこんこんちきで御利益なんぞありゃしねえとここいら一帯触れて回ってやるからそう思え。いや、待てよ。いい案配に火種があらぁ。いっそこんな汚ねえぼろ社なんぞ綺麗さっぱり火を掛けて――」
「まっ、待ってくれ。分かった分かった。もう三つ願いを聞こう」
「最初っから素直にそう言やぁいいんだ」
「……どうも参ったね、こりゃ。とんでもないのに引っかかっちゃったよ。神通力だって、無限てわけじゃないんだがなあ……」
「何をぐずぐず言ってやがる。それじゃあ一つ目の願いだ。ちいっと小腹が減ってきた。鰻の大串なんぞがあると嬉しいねえ。それから、二つ目の願いで、一杯つけてくんな。そうそう、三つ目の願いで、また願いを三つに殖やしてな」
どうにもこれじゃ、きりがありません。
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