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全く、つまらないことに巻き込まれた。 「そうだなあ、プロデュースはしてやってもいいけど、一度くらい寝てくれないと」 面の皮の厚いおっさんが言った、おっさんとは言ったが三十代と見受けるが、どうでもいい。 オールバックで肩にカーディガンなんかひっかけて、昭和のディレクターかってのよ。 「は?」 私は思い切り不機嫌に聞き返していた、隣にいた眼鏡をかけたスーツ姿のマネージャーが慌てて腰を上げる。 「戸隠さん、またそんな事をぉ……」 「まあまあ歌も上手かったし?」 まあまあ? 「俺がちょいと盛り上げてやれば、あっと言う間にトップシンガーの仲間入りよ。とりあえず一回でいいよ、お互い気に入りゃ何度でも」 何の話をしているのやら。 「お前さんの返答次第だな。いいんだよー、音楽プロデューサーなんて俺だけじゃ無いし」 てめえに、お前とか呼ばれたくない。 「そうですね」 私はできるだけぶっきらぼうに答えてやった。 「そういう事なら、お断りします」 「は?」 自称(じゃないけど)音楽プロデューサーと、マネージャーは声を揃えて目を剥いた。     
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