第一章 会社にて

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公演の内容は組長(最初はヤクザみたいで嫌だったが)を中心に話し合い何をやりたいかを出し合って決める。場合によっては施設等の慰問のような劇をやることもありその場合は依頼者の希望で行っていた。伝統的なものを新解釈でおこなうこともあればまったくのオリジナルをやることもあった。演劇サークルには脚本専門で舞台に立つことにはまったく興味ない人もいてその人たちが作るが演じるほうも台本読んだ時点でこれは・・・というのもないわけではない。また組み分けはどこかの寮のように帽子が選んでくれればいいのだけど新人歓迎会の各組の舞台を見てというのが建前でその後の飲み会での勧誘で決まるのが実情である。 私はそのときシェークスピアの『オセロ』を喜劇で演じた「鳥組」に心引かれそのまま所属することにした。 GWがあけると実際の部活動となり練習を始める。全体練習は公演のないときは週に一回程度で最初のうちは個人練習主体で演技の練習はひたすら発生練習とと柔軟体操、に基礎体力作りばかりで昔の公演で使った台本をもとに実技指導となる。 少し慣れてると即興の寸劇をやるようになる。これはセリフを忘れたときや客席のノリがいまいちな場合アドリブでその場を打開するようにということなのだがこれがまた曲者で私は苦手だった。そして我が母校の伝統として夏合宿の最後に新入生だけで各組が20分程度の劇を行う。 この夏合宿を乗り越えて夏休み明けに残ったものだけが本当の部員になれる。それぐらいきつい合宿だ。 文化部とはいえ体力を非常につかうため午前中の基礎体力作りからはじまり一日中稽古となる。また大学という閉鎖的な空間では縦社会でもあり雑用もこなさなければならないし、合宿期間も2週間に及ぶ。前期試験やレポート提出をこなしなおかつ合宿費用も稼がなければならない。今思い返しても履修登録してから試験終了までサークルの仲間との時間が濃すぎてクラスメートとの人間関係をおろそかにしすぎてしまった。(これによって前期試験はノートも情報もなく非常に苦労したのは言うまでもない)
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