第一章 会社にて

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「来年の誕生日は30歳か」 机で思わずつぶやいてしまったところを隣の席の梁瀬亮介に聞かれてしまった。 「ため息つくと幸せ逃げるよ。そんなときはダッシュで吸い戻して幸せ戻しだ。」 「何言ってんの。ため息は深呼吸だから身体に良いんだよ。それに幸運の女神は前髪つかまないと逃げるから過ぎてから追っても無駄なんだよ。ため息と一緒に逃げた幸せがいるならもう見えないところまで逃げてしまったよ。」 「なんでそんな可愛げのない返答するかな。朝の軽いコミュニケーションじゃない。」 「まだアイドリングタイムの私に可愛げを期待しないように。始業時間になったら少しは愛想振りまいてあげるよ。」 「笑顔も給料のうちかい」 「そういうこと。」
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