第一章 会社にて

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梁瀬は同期入社ではあるが総合職の男子なのでやはり待遇が違う。体育会出身という割には軽いのりで誰とでも気さくに喋れる彼は女子社員の中でも人気は高いほうだ。同じ課に配属になり席も隣なのでそれなりに仲良くなったが浮いた話のひとつ出たことはない。 男女同権といわれているが本当に同権になるにはまだあと数十年もかかるであろう。一般企業では建前はともかく本音は男尊女卑がまかり通っている。女性の総合職や管理職も出始めているが本当の意味で同等の評価が下されているか怪しいものだ。世間体の為に作られた管理職か本来なら役不足な実力者がついているのがほとんどではないであろうか。 うちの部長に言わせると現在の風潮は「女尊男卑」だそうだがあくまで男目線の話だ。 「はい、これ飲んでリラックス」 いつの間にか席をはずしていた梁瀬が缶コーヒーを買ってきてくれた。一見気が利くけど私はブラックが苦手だ。この辺のツメが甘い。
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