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…あくる日、
突然に過去の記憶が蘇る……。
神社で不思議な少年二人と遊んでいたことも、夢の中で女の人にずっと謝られていたことも…。
私はいてもたってもいられなくなり、学校帰り、神社へと向かって走り出す。
神社に着いた時には、もう既に辺りは仄かに薄暗くなってきていた。
黄昏どき・所謂、逢魔時、か…。
場所は神社だし、元々明かりも少なく、心の奥底にほんのりと、恐怖じみた感情がわき上がるのを感じた。
その時。
「久しぶり」
後ろから唐突に声をかけられた。
ビクっと振り向いてみると、そこには懐かしい顔ぶれが。
昔、一緒に遊んだ男の子だ。
えっと…(ゆう)?(せい)?どちらだろう?
にこにこと微笑む彼の表情はとても弟(ゆう)のモノでは無い。
じゃあ兄の(せい)だろうか?
少し諮詢した後に問うた。
「ひ、久しぶり。貴方は(せい)なの?」
「………」
少しの沈黙。そして少年はやっと口を開いた。
「僕は兄さん(せい)じゃないよ。弟の(ゆう)だよ。久しぶり、悠亜ちゃん」
私は激しく違和感を覚える。弟の(ゆう)は一般的な少年といったイメージの少し粗暴な男の子だった。この優しい口調は兄の(せい)のものだ。
「…貴方、本当に(ゆう)なの?信じられない…。だって話し方が全然違うじゃない。まるで(せい)みたいだよ。嘘をついているの?」
…すると、青年は顔を少し伏せめにしてふるふると首を横に振った。
「僕は紛れもなく、弟の(ゆう)だよ。数年も経てば人間なんて変わるでしょう?それと同じ」
彼の言っていることは一理ある。まぁ、確かにそうだ。数年も経てば性格など変わる人もいる。
「…じゃあ、(せい)はどうしたの?貴方だけしかいないの?」
ふと思ったことを口にしたら…、彼の表情は少し泣きそうな、悲しげな表情になった…。
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