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この、〈ひとならぬ体質〉は〈普通のひとの子供〉だったこよみをズタズタにしていった。
でも、ただ一人こよりを怖がらず心から愛してくれていたのが、立花先生だった。
やわらかな笑顔で、こよりを誘うのだ。
立花先生『みんなと一緒に遊びましょう?』
と。周りの人は相変わらずだったが、その立花先生の態度に、何度救われたか分からない。
こよみ『声が、聞こえるんです。他人の、心の声が』
謎の女『ええ』
そういえば会った時から不思議なことがあった。
今まで感じたことのない、知らないことへの不安。
こよみ『でも、あなたの心の声は聞こえない』
謎の女『うん』
こよみ『今まで、そんな人には会ったことがない』
こんな経験は初めてだった。
目の前にいる人が何を考えているのかわからない。
普通の人にとっては当たり前のことなのに、これは結構不安になる。
ずっと毛嫌いしていた体質なのに、自分がこんなに依存していたとは思わなかった。
謎の女『もしかしたら会ったことがないだけで、いるかもしれないわよ?』
こよみ『そういうことじゃなくて』
謎の女『私のは体質よ。私は能力者だと言ったでしょう?その副作用みたいなものよ』
こよみ『能力者って……一つじゃないんですか?どんな能力を使うんですか?』
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