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妖怪の嫁入り
新郎新婦と彼らの両親に見送られ、ゲストは次々と会場を後にする。空を飛んでいく者もいれば、そもそもいたかどうかも怪しい者も風のように消えていった。
その夜、式に出席した3匹が余韻を分かち合いながら夜道を行く。普段は人間に見せることもない、満足げで陽気な声色と表情である。
「いやァ素敵な結婚式でしたねェ」
「僕も新婦さんみたいな嫁さんを早くもらわないとな、行き遅れてしまうよ」
「彼もよく結婚までたどり着けたものだ」
「うん。あいついつも嘘というか、真逆のこと言うもんな。よく好きだとか結婚しようとか伝えられたな」
「それなんですがねェ。どうやらそんなに苦労しなかったようですよ」
「へぇ。どうしてだい」
「彼女も天邪鬼で、言うこと言うことすべて嘘だったみたい」
「それじゃお互い考えていることがわかるのか。似た者夫婦ってわけだ」
「――おや、こんなところに雉の首が捨てられてる」
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