あの夏の日

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 湖に向かって自転車を走らせていると、西側の道に入ったところで、それまでのカンカン照りが偽りだったかのように、あたりが真っ暗になったかと思うと、急に雨が降り出した。  余りの土砂降りに、僕達は慌てて近くの神社に駆け込み、正面の階段に腰掛けて雨宿りした。  その無人神社は、そうとは思えない程、手入れが行き届いていて、小さいながらも荘厳な雰囲気を醸し出している。 「ほら、釣り竿なんか持ってくるから、天罰だよ」  僕がそう言うと、意外にもシュウちゃんが一番落ち込んでいる様に見えた。  シュウちゃんは、その場で立ち上がると、正面に向き直って手を合わせた。 「神様、ごめんなさい。今日は釣りはしないと決めたから、許して下さい」  その瞬間、それまでの大雨がピタリとやんだ。  驚いて僕達が空を見上げると、神社を囲む大きな木々の隙間から、陽射しまでもが差し込んできていた。  隙間から溢れてくる雫までが、何かに呼応するように光り輝いている。
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