あの夏の日

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 雨がやんだとはいえ、僕達は暫くその場から動かなかった。  いかに整備されているとはいえ、足元はさっきの大雨で、ぬかるんでいるからだ。  誰とはなしに、神社の踊り場まで上ると、僕達は神社の裏手まで歩いた。 「うわ、なんだこれ」  神社の裏手は、少し(ひら)けていた。  神社と、その先の山の麓との間は、絨毯でも敷いたかのように綺麗な真緑だった。  それは、よくよく見ると、全てシロツメクサ。  優しい風が吹く度に、雨粒を湛えたクローバーの葉が光り輝く。
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