あの夏の日

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 僕達は、暫く呆けてその景色を眺めていたが、この中でも特に視力がいいシュウちゃんが、叫びながら、そこから飛び降りた。 「四つ葉のクローバー見っけ!」  それは、足元ではなく、数メートル離れた所にあるようだった。  勢いよく降りたはいいけど、先程の雨のせいか、足元が少し柔らかい。  シュウちゃんは、その感触に戸惑いながらも、ゆっくりと歩を進めた。 「ずるいぞ。僕も探す」  シュウちゃんに続けて、コウちゃんも足元に気を付けながらゆっくりと踊り場から降りた。  僕は、クローバーを抜き取る事も、無益な殺生になるのではないかと思い、その場で二人をただ見ているだけだった。
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